平成28年度の最低賃金改定への議論
使用者に対して、労働者は雇用関係上弱い立場にあり、不当な条件で働くことがないように、賃金については最低賃金法が定められています。
一応、労働基準法28条にも規定されていますが、「賃金の最低基準に関しては、最低賃金法の定めるところによる。」と書かれているだけです。
最低賃金は、労働者・使用者の代表や学識経験者らによって構成された中央最低賃金審議会が諸々の条件から決定し、この金額を基に、各都道府県の審議会がその地域の最低賃金を決定します。
気にしている人は多くないかもしれませんが、毎年10月に最低賃金は変わっているのです。
この平均賃金ですが、平成27年度(2015年度)は過去最高上げ幅の18円でしたが、平成28年度(2016年度)は20円以上を目指しているそうです。
そして、政府は『ニッポン1億総活躍プラン』に、「年率3%をめどに引き上げ、全国平均で1,000円を目指す」ことを盛り込みました。
最低賃金1,000円への険しい道のり
最低賃金が低い県ですと700円弱であり、一方、上昇は多くても年20円いくらいなので、最低賃金を1,000円にアップするには単純計算で約15年必要です。
ハッキリ言って、長すぎて自分には関係ないことに感じるでしょう。
しかも、この文章を執筆している2016年6月においては、アベノミクス失敗によって、そんなに順調に最低賃金を上げられる状態ではありません。
どう考えても、最低賃金1,000円以上は険し過ぎますね。
さらに、最低賃金が上がることによるメリット・デメリットもあります。
最低賃金が上がれば、その恩恵を一番に受けるのは、アルバイトやパートなどの安い時給で働く労働者であり、弱者救済につながるメリットがあります。
しかし、人件費が高くなれば企業は労働者を使わなくなるため、失業者が増えるというデメリットもあります。
最低賃金を全国平均で1,000円に上げることは簡単ではなく、また、決していいことばかりではないのです。
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