死亡で口座凍結でも出金可能に!金額と注意点

2018年7月6日に改正相続法が成立し、同月13日に公布されました。
この相続法改正により、2019年7月から、死亡時に金融機関の口座が凍結されても、一定額まで出金可能です。
便利になりましたが、注意点もあるので、あらかじめ理解しておきましょう。
死亡時に金融機関の口座が凍結される理由
相続に関するテレビ番組で、「死亡した人の金融機関口座が凍結される」という情報を聞いたことがある人は多いと思います。
口座を凍結して出金できなくする理由は、死亡した人の財産が相続財産となり、相続人の全員で等分しなければならないからです。
もし相続人の一人が勝手に引き出すと、金融機関も相続トラブルに巻き込まれかねないため、口座の名義人が亡くなったと知った時点で口座を凍結します。
実際の口座凍結のタイミングは、親族から申請があった時や金融機関が死亡の事実を知った時です。
そのため、口座凍結前にすぐに引き出すことも可能ですが、相続人が複数いる場合はトラブルになるので、単独での出金はやめましょう。
2019年7月以降は一定額の出金が可能
死亡した人の金融機関口座は凍結されるわけですが、そこで問題となるのが、入院費や葬儀代などの支払いです。
口座から一切出金できないため、親族が立て替えなければなりませんが、まず「誰が立て替えるか?」でトラブルとなり、さらに、相続時にもトラブルになることがありました。
しかし、2019年7月以降は、死亡を理由に凍結された口座から一定額の出金が可能です。
亡くなった人の預貯金額 X 1/3 X 相続人の法定相続分 = 一人で出金できる金額
※ただし、出金できるのは同一金融機関で150万円が上限です
例えば、預貯金額300万円で子供が2人の場合、300万円 X 1/3 X 1/2 = 50万円となります。
上記の金額であれば単独でも出金できますが、相続前に出金した金額は、遺産分割時に清算されます。
注意、凍結口座から出金すると相続放棄できないことも!?
相続法の改正により、遺族は経済的に助かりますが、大きな借金を抱える可能性があるので注意してください。
相続することにより、プラスの財産だけではなく、借金を引き継ぐこともあります。
たいてい、死亡した人が高額な借金を抱えている場合は相続放棄して借金を引き継ぐことを免れますが、凍結した口座から出金すると相続したと見なされ、相続放棄できなくなる可能性があるのです。
このトラブルに巻き込まれないためにも、死亡した人に借金がないかしっかり確認しなければなりません。
また、税理士や弁護士などの専門家に相談することも一つの手です。